まずは、このHPを見て頂きありがとうございます。そして、この記事を見て頂いてありがとうございます。
この記事を書いている現在、私は医師初期研修を修了し、来年度から慶應での学生生活が本格的に始まる(研究はもう始まっていますが)のを楽しみにしているところです。アラサーKOボーイですね笑
Profileを見ていただければ分かりますように、私は、医学部を卒業したのち、物理の道に進もうとしています。このような異色なキャリアパスを歩む人はそこまで多くはないでしょう。私の知る限りでは、京大の小嶋泉さん、東大の岡田康志さん、慶応の藤谷洋平さんあたりでしょうか。(私などとは比べるのも烏滸がましい偉大な先生方ですが…)
やはりよく聞かれるのは「なぜ医学部から物理に転向するのか?」という疑問です。
まず、「やっていけるのか?」という懸念に対しては、特異なキャリアパスを手探りで切り拓いていくことに不安はありますが、私にとって、大きな励みとなった出来事がありました。それは、5年前の物性若手夏の学校での、中央大の中村真さんとの出会いです。中村さんが当時28歳で全く新しい素粒子理論の分野にD1から参入するときに受入先の指導教官の先生からこう言われたそうです。
「(素粒子)理論に年齢は関係ない。年齢ではなく、成長を見る。」
(参考:中村さんの講演スライドより)
まだ研究を始めて間もない私が言うのも烏滸がましいかもしれませんが、新しい理論を生み出すのに必要なのは、探究心を常に持ち続けるための「心の余裕」だと思っています。競争的資金と任期に追われる日々で、「落ち着いた研究をする」のが難しくなりつつある昨今ですが、医師免許という「プットオプション」のおかげで、高単価のバイトで研究時間を最大限確保しつつ最低限死にはしないという安心が保証されているのは、長期的に見ればプラスに働いてくるはずだと考えています。
もちろん、まず職業研究者としての居場所を築くために、短期的な成果をコンスタントに出していかなければならない、という戦略は必要です。その辺りの見込みについては私の興味分野の話と合わせて、次の記事で触れさせていただきます。
そして、「なぜ物理なのか?」という問いに対しては、「物理が好きだから」という答え以外にはありませんね笑
ではなぜ医学部に進んだのか、と聞かれると、当時高校生の時から現在に至るまでの興味の変遷をお話しする必要があります。これも次の記事でお話しさせて頂こうと思います。